医院名:西島クリニック 
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月経(生理)にまつわる異常

“月経は心と身体のバロメーター”
月経異常には多くの婦人科疾患のみならず、他の診療科の病気がかくれています。
毎月のやっかいな月経ですが、病気や老化に直結する事を忘れずに自分の月経に耳を傾けましょう!

正常な月経(生理)

自分の月経症状について理解するには、まず正常な月経について理解しておく必要があります。
正常な月経周期では、約14日間低温期が続いたあとに高温期が14日間続き、月経になります。低温期から高温期に移行するころを中心に、多くは排卵が起きています(28日周期の場合)。

月経(生理)にまつわる異常の症状

月経不順

ホルモンの分泌異常などによって月経周期や期間に乱れがある状態です。月経周期は25日~38日位、月経期間は3日~7日というのが目安です。具体的な月経不順の症状は、期間が短い(1~2日)・長い(8日以上)、周期が一定していないなどです。ホルモンの分泌異常があるかどうかは、採血検査や超音波検査で確認を行って原因を特定し、それに合わせた治療を行っていきます。普段から基礎体温を測っていると正確な診断に役立ちます。

重い月経痛(月経困難症)

重い月経痛腹痛や腰痛が代表的な症状で、他に吐き気や嘔吐、貧血、頭痛、食欲不振、イライラなどがあります。立っていられないほどの痛みが現れることも多く、日常生活に大きな支障を及ぼします。原因はホルモン分泌の乱れ、子宮筋腫・子宮内膜症などの病気によるものなどがあります。

月経過多

月経周期が短く、24日以内の場合及び経血の量が多い場合に月経過多とされます。排卵がなく、少ない出血量の月経が10日以上続くといった症状や、排卵が頻繁に起きて次の月経が早く来てしまうものがあります。

無月経

月経がない状態が無月経です。先天的な問題などで全く月経になったことがないケースと、以前は普通に月経があって妊娠していないのに3ヶ月以上月経がないケースに分けられます。18歳になっても月経がない場合、治療できる可能性がありますので早めに相談してください。以前は普通に月経があって無月経になっている場合は、ストレスなどを原因とする心因性のケースが多くなっています。また、過度のダイエットや運動などによって無月経になることもあります。

症例:14歳女性

ダイエットで体重が30kg以下となり無月経となる。16歳で骨量減少。月経回復を試みるが治療を嫌がった為、20歳の現在卵巣ホルモンと黄体ホルモンを同時期に服用中。心療内科の治療も併用して行っています。

月経前のイライラ・月経前症候群(PMS)

イライラ月経前症候群(PMS)では、月経前3~10日に身体的・精神的な不快症状が起こり、月経がはじまるとこうした症状がなくなります。不快な症状を起こすきっかけを作るのは、プロゲステロンというホルモンの増加です。プロゲステロンは、子宮内膜をやわらかくして体内に水分をため込み、眠気を起こして妊娠を助ける作用を持っています。そのため、月経前にプロゲステロン分泌が増えると、頭痛、便秘、強い眠気、肌荒れ、ニキビ、肩こり、イライラ、落ち込み、無気力感などの症状を起こします。月経周期や卵巣機能が正常に働いているからこそ起こる症状ですが、生活に支障を及ぼすほど強く出てしまうことがあります。

月経前に気分が落ち込む・うつっぽくなる・月経前不快気分障害(PMDD)

経前症候群(PMS)では体と心に不快な症状が起こりますが、このうち心に起こる症状が特に悪化しているケースが月経前不快気分障害(PMDD)です。月経前3~10日に感情のコントロールが難しくなり、抑うつ感や不安感などから絶望感や悲しみ、涙が止まらないといった症状が現れたり、イライラして怒りっぽくなり、攻撃的になってしまうなどを起こしますが、月経がはじまるとこうした症状はなくなります。日常生活や人間関係に支障を及ぼすことも珍しくありません。心療内科の疾患がある場合もあります。

便秘・下痢になる(消化器の症状)

女性は分泌される物質の影響によって、排卵から月経までの期間は便秘になりやすく、月経がはじまると下痢を生じやすい傾向があります。排卵後にはプロゲステロンという黄体ホルモンが子宮と腸の収縮を抑制して便秘につながります。月経がはじまると黄体ホルモンが減少して子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質が分泌されて、これが腸の収縮も促すため下痢しやすくなります。他に、月経前の月経前症候群(PMS)による不安やイライラからストレス性の下痢を起こすこともあります。

月経(生理)にまつわる異常の原因となる病気

子宮内膜症

子宮内膜症子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外にできてしまい、月経周期に合わせて増殖と剥離を繰り返して疼痛などの症状を起こす病気です。卵巣にできたものは卵巣チョコレート嚢腫と呼ばれます。月経がある女性の7~10%にみられるとされており、20~40歳代の発症が多くなっています。重い月経痛や不妊で受診したことをきっかけに発見されるケースが多くなっています。チョコレート嚢胞の大きさや年齢などにより卵巣がんリスクが上昇するため、できるだけ早く治療を受けることが重要です。子宮内膜症の代表的な症状である強い月経痛、腹痛・排便痛・性交痛がある場合、そして不妊でお悩みになっている場合には婦人科を受診してください。月経がある間は増悪し、妊娠・出産によって軽減されます。

症例:40歳女性

従来月経痛はあったが放置。35歳で結婚、40歳で妊娠を試みるがうまくいかず当院を受診。10cmの子宮内膜症のう胞が見つかり、がん研有明病院にて手術。卵巣がんであったため、両側の卵巣・子宮の全摘出となる。現在ホルモン補填療法を受けながら経過観察中。

子宮筋腫

子宮に生じる良性腫瘍で、大きさやできた場所によって異なる症状が現れます。代表的な症状は、過多月経、月経痛、腹痛、 腹部膨満感、貧血、不妊などです。増大すると頻尿、便秘、下痢、貧血などの症状を伴う場合もあります。エストロゲンという女性ホルモンに発生や増大が影響されるため、月経がある間は筋腫が大きくなって強い症状を現しやすくなります。閉経後は症状が軽くなり、筋腫自体も小さくなる傾向があります。将来的に出産を考えている、閉経が近いなど、ライフステージに合わせた治療が必要です。

子宮腺筋症

子宮腺筋症子宮内膜に似た組織が子宮筋層内にできて、月経周期に合わせて増殖と剥離を繰り返す病気です。卵巣や腹膜などにできる子宮内膜症と違い、組織ができる場所は子宮筋層内です。進行によって子宮が肥厚して大きくなるため、同じく子宮が大きくなる子宮筋腫との鑑別が重要です。子宮腺筋症は出産経験のある30代後半~40代以降に多くみられますが、妊娠経験のない20歳代での発症も珍しくありません。閉経後は症状が軽くなっていきます。主な症状は、月経痛、過多月経、貧血、骨盤痛などがあります。治療は、将来的に出産を考えている、閉経が近いなどのライフステージに合わせることも重要です。

卵巣腫瘍(子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)や皮様嚢胞腫を含む)

卵巣にできる良性の腫瘍で、液体が詰まった卵巣嚢腫と、硬い組織でできている充実性腫瘍に分けられます。症状は腫瘍がかなり大きくなってはじめて腹痛などが現れることがほとんどです。超音波検査、MRIやCT検査などにより診断します。卵巣はしっかり固定されている臓器ではないため、動作や腸の蠕動運動、腹圧などにより動きます。そのため、卵巣腫瘍が大きくなると茎捻転を起こす可能性があり、血行障害を起こして卵巣が壊死してしまうことがあります。茎捻転を起こした場合には、強い下腹部痛が現れます。5㎝以上の腫瘍、茎捻転を起こしている、悪性の疑いがある場合には手術が必要です。

卵巣がん

卵巣がんは初期症状に乏しく、子宮と違い組織採取による検診ができないため、速やかに進行してから見つかることが多くなっています。腹部膨満や腹痛が主な症状で、腹水がたまって急にお腹が出てくる、胸水がたまって咳など呼吸器症状が出ることもあります。超音波検査、MRIやCT検査などにより診断しますが、卵巣がんの悪性度は低いものから高いものまで幅広いため、手術で摘出後に病理検査を行って最終診断を下します。

子宮頸がん

子宮の入口にできるがんで、健康診断などで行われる子宮がん検診ではこの子宮頸がんの有無を確認しています。
原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染とされており、発症のピークは30歳代と70歳代の2つがあり、近年は若年層の発症が増えてきています。早期には症状がほとんどなく、進行すると不正性器出血、帯下(おりもの)が増えるなどが現れます。ごく早期であれば子宮頸部の一部を切り取る円錐切除術による治療が可能な場合がありますが、子宮全摘出や両側付属器切除術、放射線治療・抗がん剤治療などが必要になるケースも多くなっています。そのため、検診を定期的に受けることが重要です。進行度の診断と治療を兼ねて円錐切除術を行い、その結果によって治療方針を決めることもあります。

子宮頸部細胞診の結果の見方

細胞診結果比較表:扁平上皮系

新しい分類(ペセスダ分類) 従来のClass 分類 推定される病理診断
1)陰性 NILM Ⅰ、Ⅱ 非腫瘍性所見、炎症 異常なし(定期的に健診を)
2)意義不明な異型扁平上皮細胞 ASC-US Ⅱ-Ⅲa 軽度扁平上皮内病変疑い 再検査:HPV検査または6ヶ月以内の細胞診判定
3)HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 ASC-H Ⅲa-b、Ⅳ 重度扁平上皮内病変疑い 要精密検査
4)軽度扁平上皮内病変 LSIL Ⅲa HPV感染 軽度異形成 要精密検査
5)高度扁平上皮内病変 HSIL Ⅲa
Ⅲb
中等度異形成 高度異形成 上皮内癌 要精密検査
6)扁平上皮癌 SCO 扁平上皮癌 要精密検査

子宮体がん

子宮体がん子宮自体にがんができるもので、肥満・未産・月経異常などが高リスクとされています。50~60歳代に多く、閉経後の不正性器出血で受診して見つかるケースが多くなっています。細胞を採取して行う検査の他、超音波検査で状態を確かめ、前がん病変が疑われる場合には内視鏡検査を行います。地区や会社健診の検査では子宮頸がんのみなので見逃されているケースが多くあります。

症例:55歳女性

2年ごとの地区の子宮がん検診を受けていたので、不正出血があったが更年期障害だと思い放置。出血量が多くなり、当院受診時に超音波検査にて子宮内膜が肥厚し子宮体がんの診断で手術となった。地区や会社健診の検査では子宮頸がんしか行っておりません。少しでもおかしいと感じたら早めに婦人科を受診するようにしてください。

多嚢胞性卵巣症候群

卵胞の発育に時間がかかって排卵が遅れる病気です。若い女性の排卵障害で多くみられ、卵巣の外側に10mm程度の卵胞が1列に並んでいる様子が超音波検査で確認でき、特徴的なこの様子はネックレスサインと呼ばれています。35日以上の月経周期、以前は順調だった生理が不規則になった、ニキビが増えた、毛深い、肥満傾向があるなどがある場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。なぜ起こるのかははっきりわかっていませんが、黄体ホルモンと血糖値を下げるインスリンが卵巣に作用して局所的に男性ホルモンが上昇して排卵がうまく行われなくなっていると考えられています。

月経(生理)にともなう病気

乳腺症

乳腺症乳房に触れると乳腺が硬いのがわかる、乳房に痛みがある、乳頭分泌があるなどの症状が現れる病気です。乳腺疾患では最も多いのですが、特に治療の必要はありません。ただしこうした症状は乳がんなどの深刻な病気によって現れているケースもあるため、必ず受診して診断を受けてください。発症が多いのは30~40歳代で、月経前に症状が強まって、生理が来ると軽減するケースが多くなっています。なお、乳腺症があるとマンモグラフィー検査の精度が落ちるため、定期的に超音波検査による乳がん検診を受ける必要があります。

乳腺線維腺腫

乳腺にできる良性の腫瘤で最も多いのが乳腺線維腺腫です。10歳代後半~20歳代前半に発症するケースが多く、30歳くらいまでゆっくり成長していきます。乳がんとの鑑別を行うために、摘出生検や針生検による確定診断が必要です。がんではなく、サイズが小さい場合には治療の必要はなく、半年に1度の経過観察で様子を確認していきます。

乳がん

日本人女性の16人に1人が乳がんになるとされており、女性に1番多いがんです。特に多いのが40歳代後半~50歳代前半ですが、60歳代~70歳代にもみられ、乳房のしこり、乳頭からの分泌物といった症状があります。特に乳頭から血液の分泌があった場合にはできるだけ早い受診が必要です。ただし、乳がんは症状がない早期に発見して適切な治療を受ければ乳房温存のまま治癒も期待できるがんです。しかし、診断が遅れると他の癌が5年間であるのに10年間の経過観察が必要となります。マンモグラフィーで見落としてしまうケースもあるので、必ず超音波検査も行いましょう。症状がなくても乳がん検診を定期的に受ける方が増えれば早期発見が可能になり、今後は乳がんによる死亡率も低くなっていくことが期待されています。

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