機能性消化管障害 ―機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群


「内科」のイメージ

胃が重い、食べてすぐにお腹が張る、緊張すると下痢をする、いつも便秘・・・
気づくと長い間、このような症状に悩んでいる方々、最近多くいらっしゃいます。

「機能性消化管障害」をご存知ですか。

Functional gastrointestinal disorders(FGIDs)とは

  • 機能性ディスペプシア(functional dyspepsia、以下FD)
  • 過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome、以下IBS)
     
器質的な病変が認められないにもかかわらず慢性的な消化器症状を呈する疾患群のことをいいます。
少なくとも人口の約20%が胃・十二指腸に由来する慢性症状を持っており、その多くは、器質的疾患を持たない機能性疾患であるとも言われています。
                    機能性ディスペプシアガイドライン2014より 

 

機能性ディスペプシアとは

ディスペプシア とは、bad(dys)digestion(peptein)を示すギリシャ語です。
器質的な要因(逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍など)を認めないにもかかわらず、胃痛など様々な症状を自覚する状態を指す、疾患群です。
「過敏性腸症候群」とは、腹痛を伴う下痢・便秘などの排便障害を自覚する疾患群です。
大前提として、消化管精査(内視鏡検査、CT検査など)で器質的な要因(癌、胃炎、大腸炎など)が無いことが前提です。それらがなくても消化器の様々な症状を自覚する患者さんは現在、機能性消化管障害として増えてきています。
ちなみに、FDとIBSはその約30%がover lapするといわれています。つまり、逆流症状を自覚しながら、便秘や下痢などの症状にも悩まされる方がいるのです。

今回は、「機能性ディスペプシア」についてお話します。
症状としては以下のようなものが挙げられます。

  • 常に満腹感があり、満足に食べられない。
  • みぞおちに痛みあがる。
  • 胸が焼けるように痛い。

また、症状は一つではなく、複数が当てはまる方もいます。
実際に、疾患として診断や治療のガイドラインがあります。

 

FD(機能性ディスペプシア)の原因

今回はFDについてその原因を見てみましょう。 どうしてこのような症状が起きるのでしょうか。


<機能性ディスペプシアに影響を与える要素>
①胃運動機能障害
②内臓知覚過敏
③胃酸分泌異常
④ヘリコバクターピロリ感染
⑤生活習慣
⑥精神・心理的異常  など

原因として上記のものが挙げられます。
胃自体の動き、食べ物が胃・十二指腸に触れた時の知覚、胃酸の分泌、ヘリコバクターピロリの感染、生活習慣や心理的な問題も関与すると考えられています。
実際には、これらの要素が1つではなく、いくつか組み合わさって症状が出る場合もあります。ピロリ菌の有無は検査で白黒つけることが容易ですが、その他の原因に関して検査することはむずかしいです。患者さんとの問診などから原因を見つけ、内服治療から初めていきます。大事なことは、すぐ治すのではなく、ゆっくり治してゆくことです。